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FEATURE

羽根のみえないシーリングファンライト UZUKAZE

「UZUKAZE ~うずかぜ~」
羽根のみえないシーリングファンライトが生まれた背景

スライマックの新製品はサーキュレーション機能をもったシーリングファンライト「UZUKAZE ~うずかぜ~」。羽根が見えないのに渦風を起こし、部屋の空気を効率的に循環させ、照明としての機能をもつという製品だ。しかも一般的な住宅の引っ掛けシーリングを使い誰でも簡単に取り付けることが出来るという。この画期的な新製品について、全製品に携わるSWAN電器代表取締役社長の黒澤英之に開発への思いを聞いた。

羽根のみえないシーリングファンライト UZUKAZE

世の中にない新しいものづくりを

—まずはスライマックのニューアイテムがなぜシーリングファンライトだったのでしょうか?

シーリングライトは照明市場の中心を占めていますが、これまで私どもはアームスタンド、デスクスタンドなど電気スタンドを中心に展開してきました。照明全体でいえばわずか数%ほどといわれる小さなところを一生懸命掘り下げてきたわけです。それが先代からのSWANのものづくりの流れでした。 一方、世の中にモノが豊かな時代になりインテリア空間にもモノが溢れるようになりました。そんな時代に照明で何か複合品というものをつくれないかということを前から考えていました。そこで部屋の真ん中、しかも天井にあるシーリングライトと、他の機能を合体させたら世の中で必要とされるものができるのではないかと考えました。 そこでまず考えたのはユーザーインターフェイスとして音声で動かすことができるものでした。そこで最新のテクノロジーとしてはリモコンをアプリでということを考えました。 それでどんな機能と合体させるかとなったときに、照明と空気清浄機かサーキュレーターか。羽根のない扇風機がダイソンにありますが、これが天井にあったら便利なのではないかと思いました。羽根のない扇風機があるのだから、羽根のないシーリングライトファンをつくろう!という言葉から入ったのが最初のスタートでした。

—それで最初はどのようなことをしたのでしょうか?

ダイソンの羽根のない扇風機は画期的なもので世界的なヒット商品ですが実は羽根のない機構自体の特許はとれていないんですね。そこで世の中にないもので、しかもどうせつくるのならきちんと特許をとれるようなものを作ろうと思いました。そこでいろいろな実験を始め、風がライトの廻りをまわるということにモノとしての新規性があるのではないかと考え、これなら(特許を)とれるといろいろと実験を開始しました。「うずかぜ」には3つのファンがついているのですが、最初は一つからはじめて、吹き出し口の形や幅、向きなど検証を行いました。

—最初に構想されたのは何年前ですか?

2年前です。先程も言いました通り言葉から入って実験していくうちに今の形になりました。シーリングファンの役割としては室内の空気を循環させることで空気のよどみを解消したり、冷暖房効率を上げ、その結果省エネにもなるというものです。今では室内の空気を循環させる目的でサーキュレーターが一般的に使われるようになりましたが、扇風機やサーキュレーターもそうですが、肌にあたる風自体が不快であるという課題がありました。その点、昔からある天井に取り付けるタイプのシーリングファンは、佇まいもそこでおこす風自体もどこか穏やかでしかもサーキュレーションとしてもとても効果的です。あれくらい風を感じることなく空気を撹拌できればいいなあと頭の中にありました。だったら部屋の真ん中、しかも天井に取り付けることが出来るものをつくれば、知らぬ間に部屋の空気が撹拌できるのではと思ったんです。

—一般のごく普通のリビングの天井から、照明の佇まいでありながら、まさにシーリングファンのように穏やかに風をおこすという機能が面白いですね。

そうなんです。これまでも天井に取り付けるシーリングファンやシーリングファンタイプの照明はあったのですが、電気屋さんや工事の方を呼んで特別な装着装置をつける必要がありました。賃貸では工事することもままならず、取り付けにはとても面倒なことをしなければならなかったり、インテリア性を損なうなど犠牲が伴いました。シーリングファンをつけたいという方は、大きさだったり、工事をしなければならないということで泣いていたわけです。そこで私どもとしては取り付けに工事不要で、簡単設置、シーリングで奥様でも簡単に取り付けることができるものを考えていました。

羽根のみえないシーリングファンライト UZUKAZE

3つのファンで目には見えない渦を起こす

—原理的にはどのように渦風がおこっているのでしょうか。シェード内部には3つのファンが入っているということですが、ファンはどのように入っていて、天井からの風がどのように空間に廻り、室内の空気を撹拌してくれるのでしょうか?

円形のシェードの中にLED基板の周囲に等間隔に3つのファンを仕込んでいます。それぞれにもっとも最適に風が排出される吹出口をつくっています。そしてファンから排出された風がシェードの縁に沿って流れるように、シェードのアールの角度を計算しています。コアンダ効果というのですが、シェードの縁にまわった風が離れていくときに、隣のファンの風に届き、それが二重の強さになって吹き出し、その風がさらにその次の吹き出し口から排出される風にのることでループしながら渦風をつくり、空気の循環を促しています。

—風の通り道を丁寧に設計して、風自体の力で渦をつくっているんですね。

はい。私は流体力学を専門に学んだわけではありませんが、工場内にある実験室でミニチュアを使い風洞実験をしています。風の通り道を設計してあげて、次の吹出し口まで風をきちんと届けてあげれば、それが小さかろうがループして動いている限りは、周囲に影響を及ぼし続けるということがわかりました。

—風の動きは目にはなかなか見えないだけに検証には苦労があったのではないでしょうか?

そうですね。床置のサーキュレーターのような強い風を起こして、空気の流れを変化させるという、派手さはありませんが、「うずかぜ」で考えた機構で確実に、しかも穏やかに空気の流れに変化をおこすことができることがわかりました。いわゆる間接風ですね。

—風の流れをつくる上で難しかったのはどのようなところでしょうか。

アールの角度と吹出し口の絞り具合でしょうか。角度によっては次のファンのところまで風が届かずに、ただ風を出して終わりになってしまいます。何段階かの風量で同じように風を回し渦風を起こさせるために緻密な計算が必要でした。風を効率的に回す吹出し口の絞り具合も何通りも実験をしていまのかたちにしています。それとシェードについた溝も風を効率的にまわすために必要なデザインになっています。

—機能を合体させるというというお話がありましたがライトという機能に関してはいかがですか?

照明に関してはそれを設置する場所が肝になります。コードがどうしても出てしまうデスクやフロアランプと違って、シーリングタイプの照明はコードが見えず、室内でも邪魔になることがありません。音声認識装置に話しかけるだけで電源のオンオフや調光、調色、さらには「うずかぜ」までも操作することができる最先端の機能も盛り込んでいます。専用のアプリでお手持ちのスマートフォンやタブレットで操作していただくこともできます。もちろん通常のリモコンでも使えます。

渦風をつくるという機能にこだわったミニマルなデザイン

—シーリングファンの機能は素晴らしいのですが、インテリアがリゾート風になってしまったり、床置きのサーキュレーターでは風量もそうですがインテリアとしては存在感がありすぎて、床置のデメリットもあります。空気の循環をミニマルにシンプルにするというこれまでの家電にはなかった役割が「うずかぜ」にはあると思いました。

ありがとうございます。サーキュレーターで室内の空気を循環させるという考え方は定着していて、シーリングファンというものの存在やその機能にもニーズがあるのはわかるのですが、どちらもただ風を循環させたいという方には敬遠されているところがあるように思っていました。「うずかぜ」ではそれらの課題をクリアしたいという思いがありました。 そのために考えたのはサーキュレーターとしてもシーリングファンとしても存在を消してあげることでした。なるべく床にモノを置きたくない人、風にあたるのがいやな方にとっても、天井に取り付けるだけで、快適に空気を循環してくれる製品が出来たと思っています。

—存在を消す、そのためのミニマルなデザインなのですね。

はい。デザインは風の通り道をつくるという、サーキュレーターとしての大切な機能にこだわった以外は、存在を消すということに注力しました。風の通り道にフィンをつけるというようなアイデアもあったのですが、とにかくなんの変哲もない形でいこうということになりました。

—機能やモノとしての役割から必然的に導かれた形で、ことさら主張しないデザインにはとても好感がもてました。

マイナスの美学と申しましょうか、禅の世界に近いものがあると思いました。渦風を起こすという機能と、極力目立たずにありたいという商品としての役割というところで必然的に決まってきた形でした。

—ファンと照明の融合ということもそうですが、シンプルなサークルデザインは現代のスマート家電的であり未来的ですよね。

デザインするところがない製品ではあるのですが、いわゆる家電のデザインではないがしろにされてしまう部分ではあるのですが、シェードのアールや”つなぎアール”など、アールには徹底的にこだわっています。

—デザインしすぎるとそれが目につくし、どこかあざとくなってしまうところがあるように思います。デザインって究極的にはそういう目立たないところをいかにデザインして、よりよいものをつくることだと思います。

まさにそうですね。「神は細部に宿る」という言葉がありますね。それは3Dでは判別することができないところで、実物大の大きさでスタディして初めて見える部分です。ディテールは細部に宿るとしたら、それは弊社のスタンドランプのデザインでも徹底してやっていることではあります。

—「うずかぜ」というネーミングについて教えてください。

開発段階からニックネームとして「うずかぜ」と言っていたので、われわれの中で愛着が湧いてきたのと、一度聞いたら忘れない言葉だと思いましたのでこの名前にしました。この商品をみて、シーリングファンは欲しかったけど仰々しくて敬遠していた、こういうのが欲しかったと言ってもらえたら嬉しいですね。

—形、機能、いずれもがスマートであることがSWAN電器の製品の特徴であると思うのですが、それのいずれもが備わっているのが「うずかぜ」だと思いました。

製品としての佇まいの良さ、しゃべり過ぎないデザインというのが、ものづくりの上では社内のキーワードになっています。そして「この世の中になくてはならないもの」をものづくりの基本にしています。「うずかぜ」に関しては、サーキュレーターと照明という便利な機能が2つ合体していて、形も目立たず、一般的な住宅に取り付け可能な引っ掛けシーリングに対応して、誰でも簡単に取り付けることができ、インターフェイスも含めてすべてがスマートというところを目指しました。「うずかぜ」で開発した機能で特許も取得できました。2年前に羽根のないシーリングファンというところからスタートして、苦労をしながら開発した製品です。より多くのみなさんの生活に潤いを与えられる製品になることができたらなにより嬉しいです。